ゲーミングPCは、CPUやグラフィックボード、ストレージなど、パソコンを使用するうえで、必要不可欠な部品を搭載しています。本記事では、ゲーミングPCが必要とするストレージ容量や、容量が足りない場合の対処法を解説します。
ゲーミングPCのストレージについて

ここでは、ゲーミングPCのストレージについて詳しく解説します。結論から申し上げると、ゲーミングPCのストレージは「HDD」「SSD」「M.2 SSD」の3つに分類されます。
そもそもストレージとは?
ストレージとは、ゲームのプログラムや画像、動画などといったデータを保存できる装置です。また、パソコンを稼働する際には、メモリ(RAM)とストレージの両方が必要です。両方ともデータを保存する機能を持っているため、違いはデータを保存する期間にあります。
パソコンメモリとストレージの異なる点としては、メモリが即時アクセスのためにデータを短期間格納する点です。パソコンの操作はアプリケーションの読み込み、Webの閲覧、スプレッドシートの編集など、短時間データアクセスを使用して実行します。メモリの場合は、揮発性のストレージであるため、パソコンの電源を切るとデータが消失します。
反対に、ストレージの場合は、ゲームのプログラムや画像、動画といったデータを保存できる装置です。ストレージドライブは不揮発性であるため、パソコンの電源を切ってもデータが保存されるといった特徴があります。
また、転送速度が速いストレージを搭載することによって、ゲームのロードといった待ち時間が短縮され、快適なゲームプレイを行えます。データ容量を多く使用するゲームを遊びたい方は、容量が多く搭載しているストレージを選びましょう。
ストレージの種類
HDD
1つ目のストレージは「HDD」です。HDDは「Hard Disk Drive」の略語です。プラッターと呼ばれるデータを記録するディスクが入っており、容量が大きい程プラッタの枚数も多くなります。プラッターのデータを読み書きする磁気ヘッドと、プラッターの間にはわずかに隙間があり、動作中のプラッターは高速で回転しています。なお、落下などの衝撃が加わると故障の原因となるため、取り扱いには注意が必要です。
HDDは、大容量のストレージを必要とする場面におすすめです。2TBでも7,000円程度で購入でき、瞬時にストレージを拡張できるといった特徴があります。ただし、後述する「SSD」や「M.2 SSD」と比較した場合は転送速度が遅いため、ゲームのロードやソフトの起動には向かないストレージと言えるでしょう。
SSD
2つ目のSSD(ソリッドステートドライブ)は、HDDと比べて小型や軽量など、転送速度の速さが特徴のストレージです。HDDと比較すると価格は高い傾向にあります。しかし、性能を見ると多くのメリットが存在します。
SSDは衝撃に強い特徴があるため、万が一PCにものがぶつかったり転倒してしまったりしても、データ消失の心配はありません。加えて、転送速度も速いためゲームのロードや読み込みを快適に行いたい方や、ソフト起動時のストレスを軽減したい方に最適なストレージと言えます。
M.2 SSD
最後のM.2 SSD(エムドットツー)とは、コンピュータに内蔵される拡張カードにおいて接続端子となる規格のことです。SSDというデータを読み書きできる記憶装置の接続方式の種類の一つです。
また、M.2は、Intel 9シリーズ以降のマザーボードに採用された新しい規格であるため、Serial ATA(シリアルATA)やPCI Express(ピーシーアイエクスプレス)に対応するなど、機能性や柔軟性に優れています。接続はスロット式(マザーボードなどに直接接続する)を採用しており、基盤がむき出しになったような形が一般的です。
なお、M.2は小型ノートパソコンなどの普及に合わせて、ストレージ用の面積の小型化を目的に開発されたSSDになります。加えて、M.2 SSDはデータの読み込みや書き込みの速度を求める方にとって非常に魅力のあるSSDと言えます。
しかし、M.2 SSDの導入の際にはマザーボードによって対応できるコネクターに違いがあるため注意が必要です。購入する際は、マザーボードの情報を良く確認したうえで購入するようにしましょう。
ゲーミングPCで使われるストレージの目安

結論から申し上げると、ゲームを行ううえでは、500GB以上を搭載しているストレージがおすすめです。理由としては、25GB以上のストレージを必要とするゲームが多数存在しているためです。
例として挙げると、「フォートナイト:150GB以上」「サイバーパンク2077:70GB以上」「PUBG:30GB以上」などが挙げられます。大型ゲームの場合は、せいぜい1〜2本遊べる程度です。そのため、他のソフトをパソコンにインストールしたり、ファイル内容を保存したりすることができません。
主に、ほとんどのゲーミングPCはSSDを搭載しているため、最低でも500GB以上を搭載しているゲーミングPCを選びましょう。
ゲーミングPCが必要とするストレージ容量

ここでは、ゲーミングPCが必要とするストレージ容量を解説します。結論として、下記の4つが必要になります。
- OS搭載により要する容量
- 人気ゲームをプレイするための容量
- 一般的なアプリケーションで必要とされる容量
- 保存する画像や動画の容量
それぞれ順番に解説します。
OS搭載により要する容量
基本的に、ゲーミングPCはOSであるWindowsがインストールされています。Windowsには、32ビット版と64ビット版が存在しており、それぞれ必要になるストレージは以下の通りです。
- 32ビット版:16GB
- 64ビット版:26GB
いずれもそこまで圧迫する容量ではないものの、PCの動作にOSは必要になるため、基本的に削除できないものと認識したうえでストレージを管理しましょう。
人気ゲームをプレイするための容量
次に、人気ゲームをプレイするための容量も必要になります。先述の通り、最近の人気ゲームはストレージの容量を多く使うため、500GB以上を搭載しているゲーミングPCをおすすめします。当然ながら、ゲームの種類によって使う容量は異なるものの、人気ゲームの場合は25GB以上を必要とするため、少し余裕を持って容量を確保しておくと良いでしょう。
それでも不安な方は、外付けストレージを用意しておくことをおすすめします。常に繋げておく必要はあるものの、USBをパソコンと接続してストレージを拡張できるため、外付けストレージにゲームをインストールした場合でも問題なくゲームを行えます。
一般的なアプリケーションで必要とされる容量
アプリをダウンロードする際にも容量が必要です。例として、代表であるSNSの必要容量を下記にまとめます。
- LINE:最大1GB(Mac・Windows版)
- Facebook:1.71MB(Mac・Windows版)
- Twitter:124MB(Mac・Windows版)
- Instagram:3.72MB(Mac・Windows版)
これらを踏まえると、インストールするのみであれば容量はあまり使用しません。しかし、使う頻度によっては容量もそれなりに使用する必要があるため、空き容量がない場合はソフト自体をインストールできない可能性もあります。そのため、各種ソフトをインストールする際は、容量に余裕を持っておくようにしましょう。
保存する画像や動画の容量
最後は、保存する画像や動画の容量も必要になります。画像で使用する容量はjpegの場合、1枚約5MB程度です。高解像度のカメラで撮影した場合は、1枚約8MB〜10MB程度になります。
一方で、1時間程度の動画で使用する容量は約8GB程度です。画像の容量と比較して、動画の方は多くの容量を使用するため、外付けストレージを付けることも1つの方法になります。
ゲーミングPCのストレージ容量が足りない場合に起こること

ゲーミングPCのストレージ容量が足りない場合は、アプリをインストールできなくなったりシステムやアプリなど、アップデートさえもできなくなったりします。
また、SSDの空き容量が不足すると、読み込み・書き込み速度の低下を引き起こすため、データを上書きできないといった現象も起こります。SSDは、ファイルを書き換えて上書きできないため、空いている領域に書き込みを行います。
つまり、空き容量が減ると前のデータを削除して再び使えるように処理をします。SSDの書き込み頻度が増えると、処理頻度が上がり時間もかかるため、速度が低下してしまいます。そのまま放置していると、パソコンの動作にも不具合が生じる恐れがあるため、SSDの容量不足を解消することが望ましいです。
加えて、SSDの容量不足はSSD自体の寿命を縮める原因にも繋がります。前述の通り、SSDはデータを上書きできません。空いている領域にデータを保存し、過去の領域を削除していきます。そのため、容量が足りないとデータ整理による書き込みの頻度が上がってしまい寿命が縮まると言えるでしょう。
ゲーミングPCのストレージ容量が足りない場合の対処法

ここでは、ゲーミングPCのストレージ容量が足りない場合の対処法を解説します。結論として「ストレージを増設する」「外付けのストレージを活用する」です。それぞれ順番に解説します。
ストレージを増設する
TOSHIBA DT01ACA100
HDDストレージを増設する場合は、「TOSHIBA DT01ACA100」がおすすめです。価格は 5,000円程度で購入でき、SATA 6GB/s、3.5インチサイズのHDDになります。静音性に優れ、発熱もしにくいため、コストパフォーマンスが非常に高いストレージです。
また、発熱に関しては5度〜10度まで下がったという評価も存在しており、デバイス自体もコンパクトであることが特徴です。それなりに容量も欲しく、なるべくコストを安く抑えたい方に「TOSHIBA DT01ACA100」をおすすめします。
Crucial SSD 500GB
SSDストレージを増設する場合は、「Crucial SSD 500GB」がおすすめです。価格は 7,600円程度で購入でき、内蔵2.5インチ 7mm (9.5mmスペーサー付属) のSSDになります。クルーシャルは、アメリカのマイクロンテクノロジー会社が製作しているフラッシュメモリブランドです。マイクロンテクノロジーは、数々の良質なSSDを生み出しており、価格帯も手が出しやすいため、安心できる製品が多いことも特徴です。
なお、クルーシャルで特に人気の高いSSDシリーズは「MX500」になります。MX500は、2.5インチ規格のSSDシリーズなうえに、クルーシャルの中では上位モデルのSSDです。次世代のMicron 3D TLC NANDフラッシュとSilicon Motion SM2258 SSDコントローラー採用の、コストパフォーマンスに優れたシリーズでと言えます。
性能面は、転送速度・読み込み速度が560MB/s、書き込み速度が510MB/sとなっているため、パソコンの高速起動と高速ロードが可能です。さらに、5年保証が付いており、安心して使用できるSSDと言えるでしょう。
そのため、プレゼン資料作成や会計ソフト操作などを行う方や、性能面を重視する方は「Crucial SSD 500GB」を選びましょう。
外付けのストレージを活用する
I-O DATA HDJA-UT
外付けのHDDストレージを使用する場合は、「I-O DATA HDJA-UT」がおすすめです。外付けHDD(ハードディスクドライブ)とは、パソコン内蔵のHDDやSSDとは別に、外側に設置するHDDのことです。USBケーブルで接続するタイプが多く、ストレージの容量を簡単に増やせるメリットがあります。また、昨今では低価格化が進んでいるため、低価格で大容量モデルが購入できます。
写真や動画、文書ファイルなど、大切なデータの保存も行えるため、パソコンシステムのバックアップ用としても使用できます。1TB以上のモデルが主流であるももの、2〜3TBモデルもラインナップが豊富です。10TBを超える大容量モデルであれば、動画や画像など、大量に保存ができます。また、パソコンだけでなく、テレビに接続して番組録画に使える製品もおすすめと言えるでしょう。
I-O DATAは、主にパソコン周辺機器の製造販売をしているメーカーです。価格は1TB 10,000円程度で購入でき、バッファローと並び国内のパソコン周辺機器メーカーとして有名です。
独創性のある製品づくりが特徴であるため、パソコンを介さず音楽CDをスマートフォンに取り込める「CDレコ」や、縦型でも横型でも使える液晶モニターなどユニークな製品も展開しています。HDD機器をはじめ、メモリ関連やパソコン用液晶モニター、無線LANなどの製品が豊富です。
また、冷却性能に優れており、ケース内部に独自のヒートシンクを採用しています。熱伝導面積を拡大することによって、効率よく筐体(きょうたい)に熱を伝えることができます。加えて、冷却ファンの内蔵によってHDDの温度上昇を抑えつつ積極的な放熱も可能です。
安価で外付けのHDDを購入したい方や、冷却性能を重視する方は「I-O DATA HDJA-UT」がおすすめです。
Kingston XS2000
外付けのSDDストレージを使用する場合は、「Kingston XS2000」がおすすめです。SSDの製造ブランドであるキングストンは、米国に本社を置くメモリー製品の会社になります。加えて、最新ポータブルSSDとして登場したモデルが「XS2000」となります。
「 XS2000」のインターフェイスは、USB 3.2 Gen 2×2を採用しており、USB3.2で最も最速となる規格です。USBの種類にはいくつもの規格が存在し、USB 3.2 Gen 2×2は転送速度が最大20Gbpsになるといった特徴があります。
これまで、USBはUSB 3.0、USB 3.1、USB 3.2と進化しており、その都度名称が変更しています。USB 3.0は「USB 3.2 Gen 1」(USB 3.2 Gen 1×1という表記もある)、USB 3.1は「USB 3.2 Gen 2」、そしてUSB 3.2は「USB 3.2 Gen 2×2」です。20Gbpsのスピードを実現するためには、接続するPCもストレージもUSB Type-C端子を備え、ケーブルを含めてUSB 3.2 Gen 2×2に対応しなければなりません。
また、「Kingston XS2000」の最大読み書き速度は2,000MB/sと、非常に速いため高速でデータの読み書きを行えます。最大2TBの大容量ストレージを持ちながらも本体重量は28.6gと、非常に軽量です。
付属品には、保護用のゴムスリーブやUSB-Cケーブルなども付いているため、XS2000本体に保護スリーブを貼ることによって、防塵・防水性能を有します。そのため、ほこりの侵入や水濡れなどを防ぎ、機能性が高いスペックと言えます。
「Kingston XS2000」は、コンパクトサイズであるため、PCを広げられないような場所でもスマートフォンで撮影した写真や動画なども即時転送できるメリットがあります。そのため、PCに取り込む場合も「XS2000」の高速転送でまとめて行えるので効率も良いと言えるでしょう。
処理速度を重視する方や、動画編集や画像編集などを行う方は「Kingston XS2000」を購入しましょう。
クラウドストレージを活用する
最後に、クラウドストレージを活用することによって容量を補えます。クラウドストレージは、オンライン上にデータを保存できるといった特徴があるため、データのバックアップが取れていない場合でも安心です。
例として、「Dropbox」や「Google Drive」が挙げられ、それぞれ無料のプランが用意されているクラウドストレージです。ゲームデータの保存は難しいかもしれませんが、画像や動画、音楽などのファイルはクラウドストレージに保存できます。パソコンのストレージとうまく組み合わせて、データの管理に取り組みましょう。
そもそもストレージ不足に陥らないためにできること

ここでは、ストレージ不足に陥らないためにできることを解説します。結論として、下記のような使い方です。
- 不要なアプリやゲームなどはこまめに消しておく
- 保存している画像や動画の整理
- あらかじめストレージの大きいゲーミングPCを使う
それぞれ順番に解説します。
不要なアプリやゲームなどはこまめに消しておく
1度インストールしたアプリは、使っていなくてもCドライブの容量を消費します。そのため、使わなくなったアプリやゲームなどを、こまめに消すことによってストレージの容量を確保できます。例として、WindowsPCで行うアンインストール手順を下記にて紹介するため、参考にしてください。
- 画面左下の「スタートボタン」を右クリック
- 表示された「クイックリンク」メニューから「アプリと機能」をクリック
- アンインストールしたいアプリを選択して、「アンインストール」をクリック
アプリケーションをアンインストールする際は、Windowsのアップデートプログラムなど、システムに必要なファイルを消さないように注意しましょう。
保存している画像や動画の整理
次に、保存している画像や動画の整理もこまめにしておきましょう。ハードドライブの空き容量を作る際は、不要な画像や動画を削除することによって容量を確保できます。
特に、写真や動画などは、多くのストレージ容量を消費するファイルであるため、不要なものは削除しておきましょう。
あらかじめストレージの大きいゲーミングPCを使う
最後は、ゲーミングPCを購入する際に、初めからストレージの大きいゲーミングPCを購入しましょう。一般的に、メーカー製パソコンは Cドライブの領域が少ない機種が多いです。たとえば、やや古い機種のパソコンや法人向けのパソコンなど、30GB〜60GB、120GB、128GBなどのSSDを搭載したパソコンのことです。
OSはアップデートを行うため、時間とともに容量も増えていきます。そのため、データやプログラムなどが多くない場合でも、必要なデータを占有しています。また、削除してしまうとパソコンが正常に動かなくなるため、アプリケーションやファイルなどの削除は必ず慎重に行うようにしましょう。
なお、BTOショップでは自分好みにゲーミングPCのカスタマイズを行えるため、あらかじめストレージ容量も増やすこともできます。最低でも、512GB以上を搭載しているゲーミングPCをおすすめします。また、下記の記事にて、ストレージ容量の大きいゲーミングPCも含めた最高スペックのゲーミングPCをご紹介しているため、本記事と併せてぜひご覧ください。
最高スペックを持つゲーミングPCの購入予算や性能目安【おすすめモデル5選も紹介】
記事のポイントのまとめ
本記事では、ゲーミングPCが必要とするストレージ容量や、容量が足らなくなったときの対処法を解説しました。結論として、ゲームにしか使用しない場合は、SSD 500GB以上のストレージ容量が必要です。また、動画編集や画像編集に使う場合はより多くのストレージが必要になるため、ゲーミングPCのストレージは利用用途に合わせましょう。