PCを購入するものの、どのような基準でPCケースを選べば良いか分からない方も多いのではないでしょうか。
PCケースには、様々なタイプが存在しています。その中でも、本記事ではミドルタワーサイズのPCケースや、ミドルタワーサイズのPCケースを購入する場合の選び方などを解説します。
ミドルタワーサイズのPCケースについて

PCケースは、大まかに「キューブ型」「スリム型」「ミニタワー型」「ミドルタワー型」「大型フルタワー」の5種類に分類されます。
ここでは、ミドルタワー型サイズのPCケースについて詳しく解説をします。
ミドルタワーサイズとは?
はじめに、PCケースとは、パソコンを構成する各種パーツを収める存在のことです。精密機器であるPCパーツを、衝撃や振動、ホコリや水などから守る役割を担っています。
加えて、PCケースの内部通気を適切にコントロールするため、PCパーツを効率的に冷却したり、騒音(ノイズ)を低減したりと、性能面でも重要な役割と言えるでしょう。
ミドルタワーサイズのPCケースは、世間で言う一般的なサイズです。ミニタワー型PCケースと比較して、ミドルタワーサイズのPCケースのほうが、ひと回り大きいといった特徴があります。
そのため、ほどよいサイズ感と拡張性を両立した、バランスのいいサイズのPCケースです。
ミドルタワーサイズの特徴
一般的なミドルタワー型PCケースのサイズは、幅200mm〜250m、奥行き400mm〜550mm、高さ400mm〜550mm、重量10kg〜12kgです。そのため、PCケースの中では大きいサイズと言えます。
また、内部スペースも広いため、ケーブルの配線やPCパーツの交換など、メンテナンス作業も快適に行えます。
ミドルタワーサイズのPCケースの選び方

ここまで、ミドルタワーサイズや特徴について解説しました。ここからは、ミドルタワーサイズのPCケースの選び方について解説します。
結論として、ミドルタワーサイズのPCケースを選ぶ際は、下記3つを押さえることが重要です。
- マザーボードの規格と形状を合わせる
- ドライブベイの種類と数を把握
- 電源ユニットの搭載数と配置をチェック
それぞれ順番に解説します。
マザーボードの規格と形状を合わせる
ミドルタワーサイズのPCケースを選ぶ際は、マザーボードの規格と形状を合わせることが重要です。なぜなら、ほとんどのPCケースの場合は、マザーボードに合わせて作られているためです。
マザーボードは「ATX」「microATX」「Mini-ITX」の3種類が存在し、対応するマザーボードの規格を取って、ATXケース、microATXケースなどと呼びます。
マザーボードのサイズは規格ごとに異なるものの、固定するためのねじ穴の位置は同じです。そのため、ATXケースはmicroATXやMini-ITX、microATXケースはMini-ITXのマザーボードを取り付けられます。
先述の通り、PCケースの形状は「キューブ型」「スリム型」「ミニタワー型」「ミドルタワー型」「大型フルタワー」の5種類が存在します。その中でも、ミドルタワー型のPCケースは最も一般的な形状であるため、制約が少なく扱いやすいタイプです。
ミドルタワー型PCケース
ミドルタワー型PCケースのサイズは幅200mm、奥行き450mm、高さ450mm、重量約10kg〜12kgと大きいため、設置スペースには注意が必要です。
自作でPCを揃える初心者の方や、PCケースのサイズ選びに迷った方は、ひとまずミドルタワー型PCケースを選びましょう。
キューブ型PCケース
キューブ型PCケースは、立方体に近い形をしたタイプです。ベアボーン(PCケースに電源とマザーボードがセットされたもの)にも多く採用されており、ミドルレンジクラスのビデオカードを搭載できるモデルも販売されています。
一般的なサイズは、幅250mm〜500mm、奥行き250mm〜500mm、高さ250mm〜500mm、重量約2.5kg〜12kgと、コンパクトなサイズで作られています。
しかし、コンパクトサイズは拡張性や排熱性能が低いため、ネットサーフィンや動画視聴、軽めのゲームなど、比較的ライトな用途に向いているPCケースです。
スリム型PCケース
スリム型PCケースは、デスクの上に置きやすい軽量なうえに、薄型のPCケースです。サイズは、幅75m〜145mm、奥行き220mm〜400mm、高さ200mm〜400mm、重量1kg〜7kgと、最も軽量のサイズになります。
横幅はタワー型PCケースの半分程度しかないものの、面積も小さいことが特徴です。そのため、デスク上でほかの作業をする際に、邪魔になりにくいと言えます。
ただし、CPUクーラーのサイズは大きく制限されるため、高性能なPCには不向きです。スリム型PCケースは、拡張性や高性能を必要としないビジネス向けPCに最も適しています。
ミニタワー型PCケース
ミニタワー型PCケースは、ミドルタワー型PCケースをひと回り小さくしたサイズです。本体サイズは、幅150mm〜200mm、奥行き350mm〜450mm、高さ350mm〜450mm、重量3.5kg〜7kgと、スリム型PCケースを2つ横に並べた程度の大きさです。
タワー型PCケースとしてはコンパクトであるため、大型CPUクーラーやサイズの大きいハイエンドビデオカードを搭載できないといった特徴があります。
そのため、キューブ型PCケースやスリム型PCケース以上の拡張性が必要な方や、ある程度の設置スペースを確保したい方に最もおすすめです。
大型フルタワーPCケース
大型フルタワーPCケースは、拡張性が最も高く高性能を搭載しているPCケースです。サイズは、幅250mm〜300mm、奥行き500mm〜650mm、高さ500mm〜650mm、重量10kg〜25kgと、大きさや質量など、最大級のPCケースになります。
特徴としては、大型サイズのCPUクーラーやラジエーター式の水冷システムなどが付いたり、複数枚のグラフィックボードを搭載できたりと、PCの性能を最大に発揮できることが挙げられます。
また、サイドパネルを開けたときのスペースが広いため、メンテナンスをしやすいメリットもあります。
しかし、同じタワー型の場合でも、ミニタワー型やミドルタワー型と比較した場合、どうしてもサイズが大きくなってしまうため、事前に設置スペースを確認しておくと良いでしょう。
超ハイスペックなゲーミングPCをお持ちの方や、多数のパーツを搭載しているPCをお持ちの方は大型フルタワーPCケースを選びましょう。
ドライブベイの種類と数を把握
PCケースを選ぶ際は、「ドライブベイ」と「拡張スロット」の数が重要になります。
「ドライブベイ」はHDDやSSD、光学ドライブなどを設置する場所のことです。一方で、「拡張スロット」はグラフィックボードや、キャプチャカードといった拡張カードを設置する場所を表します。
つまり、「ドライブベイ」や「拡張スロット」の数が多いほど、搭載できるパーツが増えます。それらによってPCケースのサイズも異なるため、パソコンの用途やPCパーツの増設予定を考える方は、あらかじめ搭載できる必要な数を確認しておきましょう。
電源ユニットの搭載数と配置をチェック
最後に、電源ユニットの搭載数や配置の確認も必須です。理由としては、使用するPCケースの大きさやケーブルを通すスペースの配置次第で、届かないといった場合も起こり得るからです。
そのため、まずは電源ユニットの搭載数と配置など、事前に確認しておくことが重要になります。
その他ミドルタワーサイズのPCケースに求めたい機能

その他ミドルタワーサイズのPCケースに必要な機能は、下記のとおりです。
- 冷却機能
- メンテナンス性
- 音が気になるなら遮音材付き
それぞれ順番に解説します。
冷却機能
冷却性能が高いPCケースは、熱暴走によるパフォーマンスの低下を防ぐ役割を担っています。
基本的に、PCケースはフロントやバックがメッシュ加工で作られており、メッシュ加工の場合は内部に大量の空気を取り込めるうえに、ファンだけでもある程度の冷却性が期待できます。
加えて、冷却性能をさらに高めたい場合は、水冷式ラジエーター対応ケースを選択するのも1つの方法です。水冷式は空冷式よりもCPUを効率的に冷却できるため、最も効果的な方法と言えます。
しかし、メッシュ状やファンの多いPCケースは、ほこりが溜まりやすい特徴があるため注意が必要です。パーツを長持ちさせたい方や、冷却性能に優れたハイエンドパソコンを組む予定の方は、ミドルタワーサイズのPCケースをおすすめします。
メンテナンス性
次に、パソコンケースのメンテナンス性についても注目しましょう。
パーツを交換したり、不具合の原因を切り分けたりする際に、工具不要でPCケースを開けられると、メンテナンスにかかる手間を減らせます。
ドライバーを使用せず、パーツの組み変えを行えるPCケースも存在しているため、頻繁にパーツ構成を見直したい人におすすめです。
また、複数のパーツを取り付ける際には、配線がどうしても多くなってしまうデメリットもあります。しかし、裏配線に対応している製品の場合はケーブルを背面に回せるため、ケース内部をすっきりさせることができます。
メンテナンスを手軽に行いたい方は、できるだけ工具を使わないPCケースを選びましょう。
音が気になるなら遮音材付き
静音性を重視する場合は、遮音材付きのPCケースをおすすめします。
高性能なCPUやグラフィックボードは温度が上がりやすく、強力に冷却する必要があるため、振動や音が生じてしまいます。また、ケース内部に遮音材が搭載していると、より高い防音効果が期待できるため、「遮音材付き+密閉性の高い」PCケースを選びましょう。
ただし、密閉すると内部の温度が上がりやすくなるため、その点は注意が必要です。
ミドルタワーサイズのおすすめPCケース

ここでは、ミドルタワーサイズのおすすめPCケースをご紹介します。
結論として、下記のPCケースになります。
- Thermaltake Versa H26
- Cooler Master MasterBox Q500L
- COUGAR MX350
- NZXT H510I CA-H510I-W1
- Fractal Design Define7 FD-C-DEF7C-01 CS7691
それぞれ順番に見ていきましょう。
Thermaltake Versa H26
「Thermaltake Versa H26」は、パーツ構成の自由度も高くコストも安いため、コスパを重視している方に最もおすすめです。
本体サイズは幅220mm、奥行き464mm、高さ493mm、重量6.08kgです。価格は4,600円程度で購入でき、拡張性も備えているため、初心者の方やまだ1度も購入していない方に最適なPCケースと言えます。
パネルはクリアアクリルのサイドパネルを使用しており、120mmのケースファン2基など、標準装備が多いといった特徴があります。どれを選べばいいか分からない方や、コスパを求める方は「Thermaltake Versa H26」を購入しましょう。
Cooler Master MasterBox Q500L
次に、冷却機能を求める方には「Cooler Master MasterBox Q500L」をおすすめします。
本体サイズは、高さ381mm、 幅230mm、奥行き386mm、重量3.83kgと、ほかのPCケースと比較して小型のサイズです。価格は6,000円程度で購入でき、非常にコンパクトサイズであるため、スペースもあまり取らないといった特徴があります。
また、底面に穴を開けるパンチング加工によって、冷却ファンを柔軟にレイアウトできるといったメリットがあります。そのため、熱を逃がしやすい構造で作られています。
また、ゴムパッド付のネジを脚にして横置きも可能です。ネジは手で絞められるタイプであるため、取り付けも簡単に行えます。ケースの置き方によっては、I/Oパネルの位置も使いやすいようにカスタマイズできるため、非常に魅力的なPCケースと言えるでしょう。
パネルに関しては、フチなしのアクリル製クリアサイドパネルを採用しています。中の様子が見える仕様になっており、LEDライトを取り入れてライトアップを楽しめることも可能です。
冷却機能を重視する方や、質量が軽量なコンパクトサイズのPCケースを求める方は、「Cooler Master MasterBox Q500L」を選びましょう。
COUGAR MX350
「COUGAR MX350」は、水冷式ラジエーター設置可能なPCケースであるため、冷却機能に最も優れているPCケースです。
本体サイズは、高さ473mm、幅195mm、奥行き427mm、重量5.7kgと、上述の「Cooler Master MasterBox Q500L」よりも大きいPCケースとなります。
価格は10,000円程度で購入でき、最大5台のファンと240mmの水冷式ラジエーターを設置できるため、強力な冷却が可能です。ダストフィルターも付属しており、ほこりによって生じる熱暴走も防ぐため、非常に優秀なPCケースと言えます。
ある程度の性能を求めている方や、標準装備も多いPCケースが必要な方は迷わず「COUGAR MX350」を購入しましょう。
NZXT CA-H510I-W1
メンテナンス性を求める場合は、「NZXT CA-H510I-W1」のPCケースに限ります。
ガラスパネルを採用しているため、内部がすべて見える点は非常に便利と言えます。そのため、各種ファンの稼動を確認できるうえ、内部のほこりのたまり具合などを目視できるといった特徴があります。
また、裏配線も綺麗に行えるためガラスパネルから見た際に、メインの空間が広くなります。メモリやケースファンの追加を行うときの作業性は、抜群に良いと言えるでしょう。
価格は15,000円程度で購入でき、頻繁にメンテナンスや作業を行う方は「NZXT CA-H510I-W1」の購入を推奨します。
Fractal Design Define7 FD-C-DEF7C-01 CS7691
最後に、防音性機能を重視する方には、「Fractal Design Define7 FD-C-DEF7C-01 CS7691」がおすすめです。
価格は15,000円程度で購入でき、防音機能に最も優れているPCケースになります。使用素材はスチールをベースに、プラスチック、強化ガラスを採用しており、一部にはアルミニウム製プレートも使用されています。
また、両方のサイドパネルには吸音材付きスチールが装備しているため、ほかのPCケースと比較して静音性が高く、外部に音が漏れないといった特徴があります。
静音性を重視している方は、「Fractal Design Define7 FD-C-DEF7C-01 CS7691」を選びましょう。
各メーカーによるミドルタワーサイズのおすすめシリーズを紹介

PCケースには様々なメーカーが存在し、その中でもミドルタワーサイズのおすすめシリーズをご紹介します。結論として、下記のシリーズがおすすめです。
- ツクモ G-GEARシリーズ
- フロンティア GAシリーズ
- ガレリア Xシリーズ
それぞれ順番にご紹介します。
ツクモ G-GEARシリーズ
1つ目は、ツクモ G-GEARシリーズです。ハイエンドゲーミングPCにふさわしい人気のマザーボードや、パーツを使用した最上位モデルとなります。
全体的に高いパフォーマンス性能を兼ね備えており、冷却効率に優れた大口径ファンやケーブルの裏配線など、評価の高い構造によって作られています。PCの性能を最大限に引き出す優秀なシリーズです。
なお、別の記事にてG-GEARシリーズのおすすめゲーミングPCをご紹介しています。ぜひ参考にしてご覧ください。
ツクモ(G-GEAR)のおすすめゲーミングPC4選【評判やセール時期も解説】
フロンティア GAシリーズ
2つ目のおすすめシリーズは、BTOパソコンメーカーの「フロンティア GAシリーズ」です。
FRONTIER(フロンティア)は、横浜に本社を置くインバースネット株式会社が運営している、オーダーメイドパソコンの注文生産と販売を手がけるブランドです。
最新パーツを搭載している高スペックPCを格安で購入できたり、コストパフォーマンスを重視したパソコン選びをしたりする方に、非常に人気のあるシリーズになります。
また、別の記事にてフロンティアのおすすめゲーミングPCをご紹介しているため、フロンティアシリーズに興味のある方はぜひご覧ください。
ガレリア Xシリーズ
最後は、「ガレリア Xシリーズ」です。
拡張性やメンテナンス性に優れ、ガレリア独自のPCケース「SKケース」を採用しているため、日本国内で最も使用している方が多い人気のゲーミングPCです。
最下位ランクのRシリーズよりも、大容量なストレージと高品質なパーツを搭載しています。そのためXシリーズは、どのゲーミングPCを選択しても、最低メモリ16GB、ストレージNVMe SSD 1TBと、ゲームを行ううえでは非常に快適なスペックです。
下記の記事にて、ガレリアのおすすめゲーミングPCをご紹介しています。
ドスパラ(ガレリア)のおすすめゲーミングPC7選【選び方や必要スペックも解説】
また、その他BTOショップ・メーカーについても下記の記事にて、詳しくご紹介しているため、そちらも本記事と併せてご覧ください。
記事のポイントのまとめ
本記事では、ミドルタワーサイズのPCケースの選び方や、ミドルタワーサイズのおすすめPCケースを紹介しました。
- マザーボードの規格と形状を合わせる
- ドライブベイの種類と数を把握
- 電源ユニットの搭載数と配置をチェック
- Thermaltake Versa H26
…コスパを求める方 - Cooler Master MasterBox Q500L
…冷却機能を求める方 - NZXT H510I CA-H510I-W1
…メンテナンス性を求める方 - Fractal Design Define7 FD-C-DEF7C-01 CS7691
…防音性機能を求める方
なお、下記の記事にて総合的におすすめのPCケースをご紹介しているため、ぜひ本記事と併せてご覧ください。